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ウルシのおはなし

本来の私の認識

ウルシといえば、皆さんはまず何が思い浮かびますか?

私はまず漆器が思い浮かびます。またこれらの漆器は高級品というイメージ。
個人的には、黒と朱色だけのお正月やハレの日に使う器なのかな?という勝手なイメージで、所有もしていませんでした。

それ以外だと「かぶれる」というイメージが強かったです。
岩手に来てから知ったのは、二戸市の浄法寺が漆の産地であるという事。
また、国内の文化財の修復を国産の漆を使うように?という文化庁からのお達し?をニュースで見た。
というくらいでしょうか。(正確な表現は後述します)

ウルシに取組むまでは、お恥ずかしい限りですが、私の知識はこの程度でしかありませんでした^^”

日本の漆について
古くは縄文時代から(9000年前⁉)使われていたという記録があり、日本古来の塗料としての役割でした。
その後、大陸文化の影響を受けたり、我が国独自の技法の発達などによって漆塗り技法は、日本を代表する美の一つとして世界でも評価されているのは皆さんもご存じの通りです。

国産漆の生産量
林野庁の「特用林産基礎資料」によると、現在の生産量と国内自給率は以下の通り推移しています。

輸入漆の誤解
国産の漆生産量が減少したのは、安価な輸入漆、特に中国産が増えたからという事を聞くことがあります。
実はこれは少し誤解があることが今回調べていて分かったので、皆様にも共有しておきますね。

まず、漆の輸入について。
漆の輸入はここ10数年で始まったわけではなく、昭和16年の統計データによると、輸入量が728tに対し、国内生産量は30tで、自給率にすると4%となり、以前から国内需要は輸入、特に中国産漆(輸入の9割)によって賄われてきたことがわかりました。

次に消費量を見ると、昭和55年に450t消費されていた漆が、平成14年に初めて100tを切り、統計データが最新の令和2年で32.2tまで落ちています。
消費量が落ちている、つまり需要が落ちているというのは、生活様式の変化や、プラスチックの存在も大きいと言えますよね。
漆に限らず、時代の変化の中で元気をなくしていった伝統工芸の一つだったのではないでしょうか。

ここからが誤解の素となった出来事ですが、消費が落ちている中でも、その9割が漆器用途で(文化財修復等の用途は数%)、その漆器に使用される漆は安価な中国産が使用されることが多かった。
というのが正しい認識のようで、急に安価な輸入漆が増えたわけではありませんでした。

ただ、輸入の9割を占めている中国産漆ですが、令和元年に突如輸入量が激減します。(平成2年が293t、令和元年が34t)
中国でも漆採取者の高齢化による後継者問題や、他の換金作物への移行などが原因ではないかと考えられているそうです。

国産漆の需要復活
2015年に文化庁が文化財修復に使用する漆の国産化を原則とするという方針を打ち出しました。
前述の通り、もともとは文化財の修復等で国産漆が使われていたのは、全消費量の数%でした。

当時、文化庁によると、文化財の修復に必要な漆は年間2.2tと試算しているが、国産の漆の生産量は1.2~1.4tしかなかったため、国産の漆は大幅に不足することになりました。

これがきっかけで、国産漆の生産量が上がりつつあるというのが、グラフを見てもよくわかるかと思います。

このような状況下で、中国からの輸入量の減少は、日本国内の需給に影響を与えているようで、中国産漆の価格上昇にも影響していると考えられているそうです。

将来的に漆を安定的に確保するという意味でも、国内の漆生産量の増産は喫緊の課題と言われている。
それが、現在の漆事情であると私は認識しています^^
*間違っていたらご指導ください!

では、ATARAが取組もうとしている内容はどんなことなのか?
どういう目的があるのか?といったことを、次回お話ししたいと思います!

引っ張ってすみません・笑

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