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優良誤認

私がブログを書き始めてすぐに、「地球に優しい商品って…」というタイトルで、曖昧な表現について、いずれ規制がかかるのではないか?という内容を取り上げていましたが、昨年末に消費者庁から関連した内容で措置命令が出されていました。

海外ではグリーンウォッシュを取り締まる法律が制定されている国もありますが、日本ではいまだその法律はありません。

環境省が投資(ESG)に対してのグリーンボンドガイドラインを出していますが、これはあくまでも投資に対するガイドラインです。

もし日本で取り締まるなら、消費者庁の景品表示法の「優良誤認」が該当するのではないかと言われていましたが、まさに今回の事例はこれが該当しています。

ただ、今回はグリーンウォッシュというよりも、行き過ぎたグリーン・マーケティングに対する「こらっ!」だと私は捉えています。

SDGsに対する勘違いも相まって、こういった事例が特にここ1~2年でかなり増えてきたと感じているのは私だけでしょうか^^”

さて、本題に戻りまして、今回の「優良誤認」についての説明の一部を、参考までに消費者庁のホームページから下記に抜粋します。

景品表示法第5条第1号は、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、

(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの

(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています(優良誤認表示の禁止)。

具体的には、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当します。

なお、故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。

消費者庁HPより一部抜粋

なるほど、故意ではなくても規制対象になるという事ですね。

では、今回の「優良誤認」に該当した事例について見てみたいと思います。

今回は4回に分けて計10社に対して措置命令が出ています。

*高い関心をお持ちの方は、消費者庁の【お知らせ → 執行状況2022年度 → 12月】で、原文をご覧になってみてください。

*対象物は、「カトラリー」、「魚の疑似餌」、「レジ袋」、「BB弾」

今回の措置命令は、生分解性プラスチックの主にポリ乳酸(PLA)の「生分解性」に関する説明内容が優良誤認に該当するという事でした。

ポリ乳酸(PLA:植物由来のデンプンや糖を原料とし、化学的な工程を経て製造されたバイオマスプラスチック)は植物を原料としているため、生分解性のある素材というイメージが定着しているように感じています。

よく見る表現として、土に還るとか、地球に還るとか。

そして、そこには「地球に優しい」もくっついていることが多い気がします><

さて、今回の優良誤認に該当した表現ですが、

  •  堆肥化が可能で約3か月で土に還る
  •  土壌中や水中の微生物によって分解される
  •  土中に埋めるだけで数年で炭酸ガスと水に分解される

といった内容で、あたかも投棄されたり、埋められたりしても、自然環境中で分解される「地球に優しい」商品であることを謳っていました。

そこで、消費者庁は、「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めた」ところ、

各社から資料が提出はされたが、「当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった」とのことです。

例えば、ポリ乳酸であれば、土に還るための条件があります。

  • 温度55度以上で湿度80%以上の水分がある環境下で加水分解されることにより、分子量が小さくなっていく(*加水分解:専門界の方には怒られるかもしれませんが、簡単にいうと水との反応で劣化していくということです)
  • 分子量が小さくなるとそこでようやく微生物による分解が始まる

つまりコンポストによる発酵熱による温度と湿度があれば分解するけど、自然界ではなかなかその条件は存在しませんよね。

ということで、「優良誤認」に該当するという事です。

屋外タイプのこのようなコンポストでは季節変動が大きいと思います

あくまでも私の推察ですが、消費者庁から根拠資料の提示を求められ、全社資料を提出しているところを見ると、故意ではなく、理解しきれていなかったという事なのかなと感じました。

原料としてポリ乳酸を供給する企業のサイトを見ても、良い部分しか記載がないこともあるくらいですから。

ちなみに、ここで終わるとポリ乳酸を批判しているようにも取れてしまうので、その特徴も記しておきますね^^

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ポリ乳酸は

  •  植物を原料とし、石油由来の資源に依存していないこと
  •  一定の条件下では生分解する
  •  燃やした時に石油由来のプラスチックよりもCO2の排出量が少なくなる(石油系プラスチックの1/2〜1/3)こと

 *燃やす前提での説明は日本の特徴だと思いますが^^”

といった特徴があり、石油由来のプラスチックの代替品として、生産量と使用量が増えています。

ただ、石油由来のプラスチック同様に自然界では分解にかなりの時間を要しますので、流出しないようにしたいですね。

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これを機に、地球に優しいといった表現を使う場合は、その「理由/根拠」も具体的に表示するようになれば良いなと思います。もしくは、地球に優しいといった表現は使用しない^^

私が見る限り、他にもたくさんあります。それって結局売りたいだけでしょ???っていうケースですね…。

ここまで言うからには、ATARAでも誤解を招くような説明をしないように気を付けたいと思いますし、ATARAな資源を使用したケースとそうでないケースとの環境負荷の差異も確認できるようにしていきたいと思っています。

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