ATARA_P選書_其の九
正解のある問題を解くための勉強をしてきた日本人。
余計な情報ですが、その勉強が嫌いだった私・笑
今回は、「正解のある問題」ではなく、正解のない、もしくは一つとは限らない答えに対して、自ら問を立て、前に進むことが求められている時代にお勧めしたい1冊です。
未来をつくる言葉 -わかりあえなさをつなぐために-
著者:ドミニク・チェン
*私は文庫版を買いました
新潮文庫 令和4年9月1日発行
著者は学際情報学の博士であり大学教授であり、起業家でもいらっしゃいます。
ちなみに学際とは、
二つ以上の科学の境界領域にあること。いくつかの分野にまたがり関連すること。
「国際」にならって1970年ごろ造られた語。
Google検索より
この本を購入したのは、画像のとおり、文庫の表紙でも取り上げられている箇所を見て、読んでみたい!と思ったからです。単純なのです・笑
”結局のところ、世界を「わかりあえるもの」と「わかりあえないもの」で分けようとするところに無理が生じるのだ。
そもそもコミュニケーションとは、わかりあうためのものではなく、わかりあえなさを互いに受け止め、それでもなお共にあることを受け入れるための技法である。「完全な翻訳が不可能であるのと同じように、わたしたちは互いを完全にわかりあうことなどできない。
それでもわかりあえなさをつなぐことによって、その結び目から新たな意味と価値が湧き出てくる。”
自分が、また他者が、どこからどのようにして現時点までやってきたのかという互いの環世界を理解しようとする行為をとおして、本当の関係性が構築される。ただ、それは容易なことではないが、いくらでもそれを具現化する方法を提案し、実験し、育てられる時代に生きているとし、
”たとえ人々を「接続」しようとする情報技術によって、むしろ「わかりあえなさ」が増大しているのだとしても、わたしたちは逆にさまざまな分裂を超えて、他者とともにあることを実感しながら生きられる未来をも作れるはずだと信じている。”
これは最後のまとめの内容ですが、この中にもあるキーとなる言葉については、前半に筆者の生い立ちから、またそれを学んだ体験などを通して語られています。筆者自らも、「プロセスとして自らの学習をトレースしながら思考を書き連ねてきた」と語っています。
この本自体に答えがあるわけではありません。ですので、読み手次第という本です。それがまた面白い。
まれに「こうあるべき」だといった結論がある本を読むと、違和感が残ることがあるのですが、そういうものは全くありません^^
現在のネット社会、コロナ禍を通してコミュニケーションの取り方が明らかに変わった中で、もう一度言葉だけではなく、「コミュニケーション」について考えるきっかけになりましたし、私にとっては新たな「問い」がたくさん生まれた本でした。
例えば、社会や自然環境に対する「わかりあえなさ」に対して、問題定義をしているつもりだったのがATARAの取組みなのですが、この本でのキーワードの一つである、「共話」を通して、一方的に価値を提案するのではなく、コミュニケーションを通して新たな意味と価値が生まれてくるのではないかという「問い」を持ちましたので、そういう方向で進める計画を立てるつもりです。
また、読み終えてしばらくたちますが、まだまだ思考を継続中ですので、今回生まれた問いから派生したテーマを今後のブログで取り上げていきたいなと思っています!
少し考えてみたいなと思っているのは、「都市部と地方におけるコミュニケーションの差」についてです。
おそらく、次回予告になると思います^^
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