
「行動変容は簡単ではない」と知るところから始める
以前「長ーい目で見ることをやめていませんか?」というタイトルで書いたブログの冒頭を引用します。
人間の意思決定には二つの仕組みがあり、二重過程理論と呼ばれることもあるそうです。
この二つの仕組みとは、直感的かつスピーディーに意思決定する「システム1」と、ゆっくりと論理的な判断を下す「システム2」の過程に分けられるそうです。
このうち「システム1」においては考えている感覚がなく、無意識のうちに高速で意思決定が行われているそうで、自分で気付かないまま判断することになるので、バイアスがかかる(考えに偏りが生じやすくなる)という特徴があるとのこと。
8月31日(2021年)のInstagram投稿の内容で、無意識での選択、つまり潜在意識の選択は、人間の脳の9割以上がこの思考で動いています。だから自分を変えようとしても、無意識のうちに元の自分に戻っているため、難しい。自分が変われないことに悲観しすぎることはない、と書きました。
これがまさに「システム1」と呼ばれるもので、9割がこの思考だということですね。
次に少し別視点でのお話しです。
現在、先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代ということで、VUCA【Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字】時代と呼ばれています。
来年どうなっているかわからないから、10年後なんてもっとわからないので考えられない。
という事で考えることをやめてしまうことがあるのではないでしょうか。
予測できなくなっているから、その分目先のことを大切にしよう!とか。
このことを “現在バイアス” というそうです。
将来性が不明確だと、すぐ確実に得られる目先のことを優先してしまうという現象です。
この引用から引っ張り出したいポイントは下記の2点です。
・ヒトは簡単に変われない
・先行き不透明な時代に生きる我々は今を優先する等の短期的視点に陥りやすい
ここでもうタイトルに行きつくのですが、つまり、「行動変容は簡単ではない」と知っておくことが大切だと思っています。
それを知った上で行動変容につなげるには?という事を少し考えてみたいと思います^^”
行動科学という、人間の行動を科学的に研究し、その法則性を解明しようとする学問があります。
心理学などはこの中に含まれます。
この中に、アメリカの心理学者であるJames O Prochaskaが考案した、行動の変容ステージというものがあります。
これは、人が行動を変えようとするときに通るステージを5つに分けたものです。
- 無関心期:行動を変容することにまったく興味関心がない時期
- 関心期:行動を変容することに関心はあるが、実行する意思はない時期
- 準備期:行動を実行したいと思っている時期
- 実行期:行動変容が見られるが、持続する自信がない時期
- 維持期:行動変容が見られ、持続にも自信がある時期
このモデルは厚生労働省のe-ヘルスネットのサイトでも紹介されており、健康の分野で活用されているのをよく見ます。
煙草をやめるとか、運動を始めるとか、健康を保持するための行動をにつなげるケースですね^^
例えば生死に係わる問題に直面すると行動変容は早いのですが、その状況にないと1もしくは2の状態が多いのではないかと思います。私もそうでした^^”
参考までに、健康の分野では、各ステージでどのように働きかけるのが良いかという事も定義されていますのでご紹介しておきます。
働きかけなので、誰かの助けを受けるという内容ですが、自分自身に対して適用することもできると思います。
健康分野以外にももちろん置換えて考えることが可能ですね。
e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-07-001.html より引用します。

では、行動変容の対象を気候変動問題にあてはめて考えると皆さんいかがでしょうか?

この問題に関しては、夏の暑さで熱中症になったり、台風や豪雨での被害があったりという直接的な影響はあるとしても、自分事として実感しにくいのではないでしょうか。すぐに効果が出ないという事もあると思います。
そうなったときに、健康のための習慣など自分に直接関連することでも行動変容につなげるのは簡単ではないのに、対象が自分以外のことになると更に行動変容が難しくなると思います。
国がやることだろう、企業が取組むことだろうという感覚で、自分の問題だと思えないという方も多いのではないかと思っています。
現在、環境省が進める「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」(愛称:デコ活)という取組があります。
ご存じの方、いらっしゃいますでしょうか?(詳細はこちら→ https://ondankataisaku.env.go.jp/decokatsu/)
まさしく脱炭素につなげるための行動変容を呼びかけるもので、実際に推奨するアクションを設定していて、国の予算も付けているものなのです。
ご覧いただけるとわかるのですが、アクションは特別なものではありません。
買い替えの際に省エネタイプの家電にするとか、LEDに変えるとか、一時的なこともありますが、食品ロスの削減など地道な取組みも入っています。何より、取組みの結果として「家計への効果」や「自分の時間が増やせる」などをあげているのは、まさに自分事に繋げているのですよね。国民運動ですからね^^
タイトルの通り、行動変容は簡単ではないのですが、それを知った上でまずは自分に出来そうなことから取組んでいくというのがいいのかなと思って私は取組んでいます。
途中で元に戻っていることもあるかもしれませんが、その際はまた始め直せばいい。といった軽い感じでもいいのかなと。
目的が家計費を浮かすことであったとしても。
なんせ変わるのは簡単ではないのですから^^
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