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海洋プラスチック問題について考えてみた その2

前回は海洋プラスチック問題について、日本はゴミ処理インフラが整備されているにもかかわらず、管理されずに捨てられているプラスチックが総廃棄量の1.5%あるというお話をしました。

そして、前回書き忘れたのですが、海洋プラスチック問題に、廃プラスチックの処理方法は関係ないと思っています。あくまでも日本国内の話しですが。
リサイクル率が上がっても、焼却の量が増えたとしても海に流れるのはあくまでも管理されずに捨てられるプラスチックだからです。
ゴミ処理インフラの流れに乗っていないということで、処理方法とは関係ないと考えています。

プラスチックの再資源化というのは、化石燃料の使用量を減らすという観点から見た問題であって、海洋プラスチック問題とは別問題です。廃プラスチックに関しては、再資源化率の低さの問題、温暖化の問題、そして海洋プラスチック問題の3つの問題があると思っていて、私は混乱しないように気を付けています。

ただし、処理方法は関係ないとは言いましたが、日本国内で処理されずに輸出される廃プラスチックは問題だと考えています。
4つ目の問題ができましたね^^”

ここでまずは、2016年から2020年までの日本の廃プラスチック輸出量を確認したいと思います。
*データはJETRO(日本貿易機構)より引用

2020年廃プラスチック総輸出量 上位10か国のみ (JETRO資料よりデータを引用し作成)

まず、この表でわかる事実は以下の通りかと思います。

・中国、香港への輸出量が2017年から2018年にかけて、大きく減少している
・上記と同タイミングで、マレーシア(対前年比293%)など他のアジアへの輸出量が増加している
・輸出国はほぼアジアである(2020年は約96%)
・輸出量の総量は年々減少している(2020年は対2016年比で54%に減少)

要因は中国が輸入を禁じたことは発端ですが、一気に変動しました。そして中国に行けなくなったプラスチックは他国へ振り分けられていますが、中国同様に輸入規制がかかることは間違いありません。
2020年はすっかり輸出量の割合が変動しています。

ここで大切なのは、なぜ規制されたか?ということです。
本来は資源として再利用するために輸出されているのですが、中国でもごみ処理のインフラは整備できているとは言えない状況です。そこに自国の経済成長によるゴミ発生量が増大し、さらに日本だけでなく、EUはじめ世界各国から輸出されている半分ほどが中国に集まってきていました。

もうパンク状態ですよね。
そういう状況で環境汚染の問題が露呈してきたため、規制をかけたということは理解しておく必要があります。

また、量が増えただけではなく、資源として輸入された中には、ゴミ同然の状況のものや、有害物質を含む廃棄物が混入されていることがあったという事でした。実際に私も10数年ほど前ですが、港湾の検疫ではねられて返品されてきた廃プラスチックのコンテナの中身を見たことがあります。ただのゴミでした。ひどかったのでよく覚えています。

これは日本だけではなく、世界各国から輸出されているものも同じ状況だそうです。

そして中国では、2010年に管理されずに捨てられるプラスチックの推計量は、8,819,717トンで世界第1位です。日本の約62倍の推計量です。

中国の廃プラスチック排出量は統計データが存在しないようなので、総量はわからないのですが、海に流れ出ていると推計される量が132万トン~353万トン(前回同様jambeck氏2015のデータ活用)ということで、管理されずに捨てられていると推計される量の15%~40%が海に流れ出ているといえます。

総量が多いので、ゴミ処理インフラが整備されていないと、海に流れ込む量も多くなってしまいます。
そしてこの総量の中には、日本を含む世界各国から輸出された廃プラスチックのひどい状態のものが含まれており、輸出量が多いのは2019年のデータだとドイツ、日本、アメリカがトップ3になります。4位以下はEUの国が多いです。

中国が規制をかけたことで、東南アジアに輸出先が振り替えられていますが、ゴミ処理インフラの状況は中国同様です。
例えば、日本からも輸出されているベトナムの2010年に管理されずに捨てられているとされる推計値は、年間183.4万トン。そこから海に流れ出ていると推計される量は28~73万トンという事で、中国同様15から40%が海に流れ出ていると推計されています。

廃プラスチック輸出に関しては、私たちの目に見えていないだけで、日本も大きく影響を与えていることは間違いありません。ただ、日本に限らず、世界的に取り組むべき課題ですよね。

そして何よりも、先進国が自国で消費したプラスチックの量を、自国で処理しきれていない状況を変えることから始めないといけないと感じています。

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