自然との距離
住む地域によって大きな差があると思うのですが、日常生活含め、自然との距離って20年、30年前と比較して離れている気がしています。
単純にコロナ禍の影響で機会が減少していることもあると思うのですが、それ以外にもう一つ理由があると感じています。
それは、あえて自然から遠ざかっていること。
理由は「危険」だということです。
私が小学生の頃、近所の遊び仲間とともに虫取りに行ったり、川に泳ぎに行ったり、釣りに行ったりしていました。その時の保護者はそのグループの年長者さんでした。といっても高学年と低学年の違いくらいで、皆小学生。
ただ、年齢の差以上に経験値の差が圧倒的に違ったことを覚えています。
例えば、いつも泳ぎに行っていたのは自転車で30分ほど移動した、小さな滝つぼのある川でした。
そこで泳ぎ方も教えてもらいましたし、何より「この場所から急に深くなるから、泳げないやつは人は行くな」とか、「急に水が冷たくなるから気をつけろ」とか。お兄さん、お姉さんは何でも知っている頼もしい存在でした。
もちろん、滝つぼから飛び込むのは、泳げる人だけで、泳げない人はお兄さん、お姉さんに止められます。
そして、自分が泳げるようになると、本当に深くなっているのかを試しに行き、急に深くなる境界、また急に水が冷たくなる境界を実際に体験します。
それを自分が高学年になったら、次の世代にまた教える。
これって実は代々受け継いでいく、ご近所の遊び仲間内での自然な引継ぎでした。
意識してやっているわけではないのですが。
今はこういうご近所の年齢差があるグループって減ってきているのではないかと思います。
子供の数が減っているという事もあるかと思いますが、私の家の近所では、子供たちが遊ぶのに、親が一緒にいることが多いようです。
そして、子供たちが少し遠くに出かけようとすると親に止められます。
川となると、危ないから近付いちゃダメ!と。
実はこの危ないからダメ!というのが自然との距離を拡げているのではないかと感じています。
これは良し悪しは別として、子供の人格形成にも影響を与えるだろうなと思います。
冷暖自知という言葉があります。
禅の言葉で、「冷たいか暖かいかは、飲んだ自分しか分からない」という意から、禅宗では、悟りは人から教えられて理解できるものではなく、本人が悟らなければ理解できないとされる。と調べたら出てきます。
川で遊ぶのは危ないことではありますが、どこが、どのくらい危険なのかを体験しておくことって大切ではないかと感じていて、リスク感性を養うことにつながっていると思っています。
また、面白いアンケート結果を見たのですが、川遊びに限っていうと、「自然と触れ合うことを推奨する」か、「危険だから止める」かというアンケートがあり、世代間で一つの壁があることがわかりました。20代から50代までは、危険だから止めるが多くの割合を占めるのですが、60代以上は推奨する人の割合が一気に増えるという結果が出ています。
これは、自らの体験を通してという事もあるでしょうし、60代以上って精神的にも強い世代だという事もあるかもしれません。
この結果から、当然親からの影響は大きいので、今後ますます自然との距離が開いていくのではないかと感じました。
自然は怖いものであるというのは、以前書いた通りです。
ただ、だからといって完全に距離を取ってしまわずに、良い距離感を保てればいいなと思っています。
キャンプとかが身近でいいのかもしれませんね。
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